お守りナース「ににふに」です。
大阪・豊中と吹田で、自費の訪問サポートと伴走型支援をしています。
開業して7日。
「ひとりで始めるんだし、そんなに変わらないかも」と思っていたのに、
予想外に予定が入りバタバタと……気づけば週末でした。
慌ただしくなると、いつも本が読みたくなります。
今日は原点に戻りたくなって自分の部屋の本棚を眺めていました。
昔から本が好きで、乱読・積読の常習犯です(良い読者とは言いがたいですが…笑)。
その時々に気の向くままにいろんな本に手をのばしてきました。
特に文学と心理学――このふたつの分野には、「人と向き合う」ということの根っこが詰まっている気がしています。
ブログに【ににふにの本棚】という新しいコーナーを作って、
私の心に深く沁み込んだ本をご紹介していこうと思います。
拙い感想になるかもしれませんが、少しずつ綴っていきますので、お付き合いください。
さて、今日はこの本をご紹介します。
◆野口裕二著『物語としてのケア』――ナラティヴ・アプローチの世界へ(医学書院)

初版は2002年。野口裕二氏は心理学者です。
少し前の本ですが、「科学的説明」に支配されていた医療の現場に、「物語的説明」の視点を持ち込んだ、画期的な一冊と言われています。
ナラティヴ(narrative)とは、「物語」や「語り口」を意味し、「ナラティヴ・アプローチ」とは、人々の語りや「物語」を重視しながらケアを組み立てていく方法を指します。
この本に気付かされることがとても多く、今でも時々読み返しています。
目次を見てみましょう。
第1章 言葉・物語・ケア
第2章 物語としての自己
第3章 物語としての病い
第4章 外在化とオルタナティブ・ストーリー
第5章 「無知」のアプローチ
第6章 リフレクティング・チーム
第7章 三つの方法
第8章 新しい専門性
第9章 ナラティヴ・コミュニティ
第10章 物語としてのケア
この中でとくに私が共感しているのは、第5章「無知のアプローチ」です。
医療者と患者ではなく、〈それぞれに物語を生きてきた人間同士〉として出会うこと。
「私はあなたのことをすでに知っている」という前提を手放し、〈わからないまま耳を澄ます〉という姿勢です。
医療の現場では、「知らないこと」はネガティブに捉えられがち。なのですぐ「わかった気」になって自己解釈で物事を進めてしまう。でもそのひとりよがりな視点が相手との交流を困難にしている、と本書は指摘しています。
少ない情報で判断してしまうよりも、「教えてください」と相手に興味をもって関わることこそ、本当の対話のはじまりなのだと述べています。
わかっているふりをせず、
わからないから距離を置く、でもなく、
わからないから「知りたい」と心を開いて聴く。
簡単なようで難しい、とても奥が深い姿勢です。
他にも、問題を本人と切り離して考える「外在化」、「ドミナント・ストーリー」と「オルタナティブ・ストーリー」、「物語」を聞き続けることについてなど、興味深い項目がたくさんありますがそれはまた別の機会に。
ご利用者様がご自身のことばで語られる「物語」。
それを、散歩の途中や足浴の時間の中でお聞きする――
話すことでご利用者様も自分というかたちが見えてきて、
相互理解へつながり、不安を手放すきっかけとなる。
そんなふうに、日々のなかで紡がれる物語に触れるケアを、私は大切にしたいのです。
野口裕二著『物語としてのケア』
よかったら手に取ってみてください。


