「お守りナース」は看護師として動く場面が多いですが、心理士でもあります。その方面の知識を深めるため、先日、日本心理学会主催「ゆるしの心理学」という公開講座に参加しました。

〈ゆるす〉という、とてもシンプルな言葉。
けれど病気や老い、生活の困難と向き合う場面では、とても大きな意味を持ちます。
私は「これからの自分のテーマになりそうだ」と感じ、会場へ向かいました。
講師は、京都女子大学の八田武俊先生。
多くの参加者が集まり、ゆるしに関する幅広い話題を聴講しました。
内容は、〈ゆるす〉ということを俯瞰してまとめられていた印象でした。
「ゆるすとは何か」「宗教や文化や立場によってどのような違いがあるのか」など、
参加者全員がテーマに触れられるような構成だったと思います。
だからこそ〈ゆるす〉という聞き慣れた言葉が実は大きなテーマで、定義すら複数あるということを知り、勉強になりました。
自分を「ゆるす」ということ
看護の現場でよく出会うのは、
「自分をゆるせない」 という状態。
・病気になってしまった自分
・できなくなった自分
・頼らざるを得ない自分
・家族に迷惑をかける自分
どれも「誰かに謝る必要のないこと」なのに、
当の本人は強い罪悪感を抱えてしまうことがあります。
ゆるすことができないまま治療に進むと、
どんな選択も「間違っている気がする」と心が揺れやすく、
前向きな意思決定につながりにくくなります。
無理にゆるさなくていい
だからといって、ゆるすことが〈良いこと〉だと、いくら頭で「ゆるしたほうがいい」と理解して行動しても心が追いつかず、かえって自分を責めてしまうこともあります。
「ゆるせない」という状態にも、個々の理由があります。
無理に「ゆるす」のではなく、
ゆるせない自分を認識し、その状態をさらけ出して話せる空間があること。
それがひとつの道しるべになるのではないかと思っています。
「お守りナース」ではそんな空間作りを大事にしていきたいです。
パストラルカウンセリングとの出会い
今回の講演で私が特に興味を持ったのが「パストラルカウンセリング」でした。
宗教的ケアを中心に心のケアを行うカウンセリングだそうで、家に帰って調べたところ、宗教的な背景を持ちながらも、特定の宗教に導くわけではなく、その人が大切にしている価値観や世界観に寄り添うカウンセリングとして発展してきたそうです。
これはもしかしたら私が大切にしている〈ナラティブ(物語)〉と非常に近いように感じました。
伴走型支援の中で生きる「ゆるし」の視点
伴走型支援は、
〈利用者さんが自分の選択で前に進む〉ための環境づくりを大切にしています。
ゆるしの視点は、その土台になるものだと改めて感じました。
・自分の今の状態をゆるすこと
・迷っている自分をゆるすこと
・弱さが出てしまう日をゆるすこと
そうやって自分をゆるし、見つめることで初めて「治療をどうするか」「生活をどう整えるか」という意思決定がスムーズになります。
今回の講演は、伴走型支援の価値をもう一度言葉にするきっかけをくれました。
ゆるしの視点を、これからの支援に含めていきたいと思います。
〔お守りナース ににふに〕
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